実家の家業である自営業の酒屋の手伝いをしていた男性が、酒屋の売上減少から自営業に限界を感じ、40才にしてタクシー運転手へと転職をした体験談です。
自営業の酒屋の売上が低下し、40才にしてタクシー運転手へと転職
私は、学校を卒業してから、ずっと実家が経営している酒屋の手伝いを仕事としていました。そんな私がタクシー運転手へと転職をしたのは、20年ほど前の話です。
両親が経営する酒屋は、近所の人や近所のお店をお客さまとする小さな酒屋でした。今でこそ、お酒やコンビニや量販店で購入することができますが、お酒の販売というのは、酒販免許の取得がかなり厳しく、小さなお店と言っても、両親だけでは人手が足りないくらい忙しく、繁盛していました。
お酒の安売りチェーンやコンビニが増え、酒屋の経営が苦しくなってきた
若いころ、このまま酒屋を継げば良いと気楽に考えていましたが、お酒を安売りする酒屋がチェーン展開をし始め、コンビニでもお酒が販売できるようになり、だんだんとお酒の販売競争が激化してきました。
小さなお店ですので、価格競争では戦うことができないので、配達などのサービスで何とか常連客を確保していましたが、配達を要望されるようなお客さまもどんどん減り、売上は減少する一方でした。
そんなことから、実家の酒屋には限界を感じ始めました。同業者もクリーニングの取次など別の事業を増やしたり、コンビニへと事業転換するか、廃業するかという人が増えてきました。余談ですが、セブンイレブンはチェーン展開するにあたり、すでに酒販免許を持っている酒屋をコンビニオーナーとして転換させる戦略を取っていたとも聞きます。
コンビニに転換することも考えましたが、年を取った両親にこれからコンビニの24時間営業をさせるというのは選択することができませんでしたので、両親には申し訳ないと感じたのですが、どこかに雇われて働くことを考え、求人雑誌を見るようになり始めました。
求人雑誌で見かけたタクシー運転手募集の広告に惹かれた
そんな中で求人雑誌で見かけたタクシー運転手募集の広告に惹かれました。そもそも当時は40才で、酒屋での仕事経験しかなかったため、あまり多くの選択肢はなかったのですが。。
心苦しく思ったのでうが、酒屋は両親に任せ、私自身はタクシー運転手へと転職することを決意しました。タクシー運転手への転職を決意すると、タクシー業界は人手不足ということもあり、転職自体は比較的スムーズに来ました。
タクシー運転手を選んだのは二種免許取得のサポートと勤務体系から
タクシー運転手を選んだ最大の理由は、未経験でも採用対象となることと、タクシー運転手に必須の二種免許の取得サポートが受けられるところです。日頃から酒の配達をしていたこともあり、近隣の道は結構知り尽くしていたので、これまでお酒を運んでいたところを、お客さまを送り届けるということに変わるだけと思うと、仕事には抵抗感はありませんでした。
また、勤務体系も魅力的でした。タクシー運転手の勤務は丸一日働くという隔日勤務という勤務体系のため、休日が非常に多いのです。簡単に言うと、1回の出勤で2日分の勤務として20時間近く働きます。その代わり休日が多くなるという勤務体系です。
通常の会社勤務だと、ウィークディは朝から夜まで働かないといけませんが、タクシーの場合にはそうではありませんので、休日に両親の経営する酒屋を手伝うことができるというわけです。私自身は肉体的には大変ですが、両親にとって急に1人働き手が減るよりは、負担が少ないだろうと考えたわけです。
勤務をしてみるとお酒を運ぶのと人を運ぶのでは大違い
そんな思いで、タクシー運転手の仕事をし始めたのですが、いざ勤務をしてみるとお酒を運ぶのと人を運ぶは当たり前ですが、まったく異なります。これまで、お店での接客というのはありましたが、お店では結構フレンドリーな感じで対応できましたがタクシー運転手の仕事では敬語を使わないといけないため、言葉使いもぎこちくなくなり、はじめのころは少々無口になってしまいました。
ですが、経験とは大きいもので、だんだんと敬語スタイルも板に付きタクシー運転手としての自覚が芽生え始めます。
勤務をしていた嬉しいことは、一気に水揚げ額が増すロングドライブです。1時間以上のコースになれば1日に必要な売上の半分は確保できるのです。中にはチップをいただけるお客さまや、食事をごちそうしてくれたりと親切なお客もいます。
苦労したのはやはり出勤形態です。1日働いて1日休むというのは体のリズムがなかなか作れずハードでした。一方で、両親の酒屋を時折手伝いながら、タクシー運転手をしたことで、酒屋のお客さまからタクシー運転手として呼んでいただけることもありました。
今では、両親も年を取り、酒屋は廃業してしまいましたが、私自身は今でもタクシー運転手の仕事を続けています。長く続けれているということは水があっているということなのだと思います。
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